<入園当初の年少児(当時)Mくんのつぶやきから~>
「だいじなMくんだから おうちに帰る!」しゃくりあげるように泣きじゃくりながらそうつぶやいたのは新入園3歳児のMくん。
”だいじなMくん”として、きっとお家の方々に温かく見守られ、大切に育まれてきたMくんの”はじめの一歩”は、こうしてはじまりました。
少しずつ日を重ねるごとに、Mくんの不安と緊張の糸はほぐれてくるものの、なかなか保育園の門をくぐることができず、門の前を行ったり来たり・・・
「保育園がんばろうね」ときっとお家で話されているのでしょう。大好きなお母さんとの約束を守ろうと、小さな心に言い聞かせて頑張って一歩を踏み出そうとするものの、お母さんと離れる不安の波が押し寄せてきます。Mくんの表情やしぐさ、つぶやきから、Mくんの小さな心の中に起こっているさまざまな葛藤やそれを乗り越えようとするけなげさが痛いほど伝わってきます。
毎年、繰り広げられる4月当初の光景を、今年度〇〇保育園に就任した私は自分の緊張を子どもの緊張と不安に重ね合わせて感じ取っていました。
子どものつぶやきや表情の中には、子どもなりに不安を乗り越え、精一杯前に向かって歩んでいこうとする姿が見られます。新しい環境や人との出会いに向かっていく力が育つには、不安な気持ちをしっかりと受け止め、十分癒してもらえる安心感が土台となります。
新入園児だけでなく、時に年長児でも今までお家でできていたことができなくなったり、やたら甘えん坊になったりすることがあります。お母さんをてこずらせたり、「この子だいじょうぶかしら・・・」と不安にさせたりすることも出てくるでしょう。でも、大丈夫。
どの子も育ちの速度は違うけれど、時には行きつ戻りつしながら、その子らしく成長していきます。
さて、Mくん。今ではすっかり余裕の登園風景が見られるようになりました。先生や友達とも自分らしさをいっぱい出しながら遊べるようになってきています。でも降園時、お迎えのお母さんを見つけた時のとびっきりの笑顔!最高にうれしい瞬間です。
そして、「ぼくがんばったよ」と言わんばかりの誇らしげな表情から、子どもは自ら育とうとしていることを実感するとともに、私自身もMくんの気持ちが伝わってきて、ほっとすると同時に嬉しくて温かい気持ちになります。
平成22年のMくんは、今は小学校5年生になっているはず♪
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